日本経済が低迷しているというマクロ的要因があるにせよ、この格差は許容範囲を超えているといわざるを得ない。
グローバル化した資本市場では、こうした収益力の格差は長くは続かない。
長期的にこのような低水準では、日本企業に投資する投資家はいなくなる。
その結果、資金調達のできない企業は、市場からの撤退を余儀なくされてしまうからだ。
では、こうした大競争時代に対応した企業形態、企業戦略の構築とその実行を阻んでいる根本的な理由はなんなのか。
私はその根底に横たわっているのは、コーポレート・ガバナンス(企業統治)のあり方だと思う。
企業が生成、発展していく歴史をみると、ある事業を始めて、工場を建て生産量を伸ばしていく初期の段階では、通常、複雑な企業組織はいらない。
そしてオーナーと経営者が同一人物である場合には、コーポレート・ガバナンスの問題は発生しない。
なぜなら、経営と所有の分離が起こっていないし、単一の事業を営んでいる段階なので、そんな複雑な戦略は必要ではない。
経営者のワンマン経営でどんどん事業が進められる段階だ。
しかし、企業が次第に成長し、株式が公開され、経営と所有の分離が始まると、高度な経営戦略が要求されるようになる。
この段階では、企業組織は普通、かなり複雑になっており、全体を束ねる統合戦略が不可欠になってくる。
そのためには、それぞれの発展段階に対応した有効なコーポレート・ガバナンスの構築が求められるようになる。
では、複数の事業を営んでいる日本の大企業のコーポレート・ガバナンスの何が問題なのであろうか。
基本的な問題は「戦略とオペレーションの分離ができていないこと」だ。
もっと具体的にいえば、それぞれの事業の責任者である事業部長が、同時に戦略を決定する取締役会のメンバーになっていることである。
このことの何が問題なのかというと、オペレーションの責任者が戦略策定に参加すると、戦略の中身が劣化するという点が問題である。
例を挙げよう。
仮にある企業がW流の「ナンバーワン、ナンバー戦略」を採用しようとして、ナンバーワンにもナンバーにもなれない事業部の撤退を決定しようとしたとしよう。
この時、撤退の対象となるべき事業部のトップは、取締役会で身を挺して抵抗するであろう。
もし撤退と決まれば、自分の首が飛ぶだろうし、これまで一緒に働いてきた事業部の仲間にも申し訳ないと考えるはずである。
さまざまな理由を並べて、自分が担当してきた事業存続の正当性を主張するに違いない。
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